僕と同年代はもちろん、少し先輩の方々でも、オペラと縁のある方は少ないかと思います。
なので「オペラみたいな恋」と言ってもピンとこない方ばかりでしょう。
一言で言うならば、”ディズニーっぽい”でしょうか。
ディズニーと同じくらいのファンタジーものもあれば、歴史的背景を活かした社会派なロマンス劇もありますが、
オペラの原典の多くは資料もあまり残っていないような時代の伝承話が多かったり、それこそディズニーの原典となる童話などが作られた時代と非常に近かったりするので、ディズニーのロマンス要素に重厚感を持たせたものと言えばイメージがしやすいかもしれません。
それを前提に、オペラは呪いを解く物語があり、たとえば
『さまよえるオランダ人』
これはパイレーツ・オブ・カリビアンにも登場する海の伝説を題材にしていて、軽く紹介すると、
呪いにかけられたオランダ人は7つの海を彷徨い、7年に1度しか陸に上がることができず、その呪いを解くには真実の愛を見つけることが条件になります。
たとえば
『ローエングリン』
では、助けにきた騎士の「名前を訊いてはならない」とか。
呪いとは少し違いますが、僕が今年観た
『トゥーランドット』
も冷徹な「氷の王女」の心を情熱的な愛で溶かし、結ばれるなど、
呪縛によって苦しむ人が真実の愛によって救われるという作品が多くあります。
ディズニーで、そんな物語を思い浮かべると、まず思い当たるのは
『美女と野獣』ではないでしょうか。
呪いで野獣の姿に変えられた王子はベルが与えてくれた真実の愛によって解放され、結ばれる。
さすがに僕は野獣の姿には変えられてはいませんでしたが、恋愛において、とある呪縛に悩んでいたのです。
その呪縛とは、、、
君は人生で3人の恋人ができる、という予言
です。
「なんだそれは!」だと思うので説明します。といっても経緯は僕も曖昧で、占い結果ていうか、最後に言われた言葉があまりに衝撃的だったので、そちらばかり記憶しているのです。
中学一年の終わり頃だったでしょうか。英語の授業で、質問に答えていく遊びがあり、最後に何かしらの質問をされて、僕が出した回答から、英語教諭は
君は人生で3人の恋人ができる、と言ったのです。
本当に曖昧すぎて申し訳ないのですが、とにもかくにも僕はその言葉をなんとなく重く受け止めていました。
当時僕には人生で初めての彼女がいました。
「今の彼女は数える?」と訊くと、数えると答えが返ってきました。
つまり、当時の彼女と別れたら、あと2人と恋人になって、僕は今世での恋愛を終えるわけです。
まもなく当時の彼女と別れ、その後別の彼女ができ、また別れ、高校生で3人目の彼女ができました。
その彼女ともやがて別れ、大学生活の4年間、僕には恋人がいませんでした。
そんなある時、僕は呪いの言葉を思い出したのです。
君は人生で3人の恋人ができる……
すでに3人の恋人ができ、別れました。それ以降本当に彼女ができず、恋愛の「れ」の字すらご縁がない。
ああ、僕の人生は終わった。すでに幕は降りている。このまま1人、ただひたすらに夢を追いかけて、死んでいくのだ、と。
ところがです。
その後僕には人生で4人目の恋人ができることになります。
出会いはアルバイト先でした。彼女のほうが僕を好きになってくれ、連絡先もデートの誘いも告白も、すべて彼女から動いてくれました。
当時の僕は大学を卒業して、作家になると息巻いて就活もせず、フリーターをしていました。
彼女は一歳下で、出会った頃には就職先も決まっている。
素直でよく笑う、とても素敵な女性でした。
そんな彼女の人生が僕と付き合ったことで狂ってしまうことを僕は恐れました。
告白された時、僕は自分の人間的欠陥をひたすら挙げ、そんな社会不適合者だけど、それでもよければぜひ恋人になってほしいと言いました。
果たして彼女は受け入れてくれました。
その瞬間、僕はあの呪縛から解放されたのです。
決して表現などではなく、本当に体が軽くなったようで、僕は運命めいたものを感じました。
僕にかけられた呪いを解いてくれる救世主は彼女だったのだ! と。
しかしーー。
すぐに振られました。
たった半年。
僕は、呪いの件もそうですが、やっぱり大好きな人だったので、ずっと一緒にいるものだと思っていました。
ひっそりと僕の胸の中で紡がれた呪いと救済の物語もあったので、これは「いつまでも幸せにくらしましたとさ」のめでたしめでたしな恋物語だと思っていました。
でも違いました。
短く、儚い恋でした。
今まで、別れは常に切り出されてきた側ですが、泣いたのは初めてでした。
本当に、このまま失明するんじゃないかと思うくらい泣きました。
呪いは解け、現実に目を覚まされたこの恋で、僕は主人公になりかけてなれませんでした。
しかし僕の4人目の恋人となった彼女は確かに僕を呪いから救ったヒロインなのでした。
本人は知らないだろうけど。
(今僕には新しい彼女がいるけど、これを書いたのは出会う前だから、こんな記事を載せても怒られないよね、きっと……笑)


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